『世に生を得るは、事を成すにあり』
これは、坂本龍馬の言葉だそうですが、「この世に生まれたからには、誰にでも何かすべきことがあって、それが使命なのだ」とのこと。まさに、坂本龍馬の生涯を代表している様な言葉で、心に沁みる。



そんな坂本龍馬の言葉に触発された訳ではないけれど、
齢50を過ぎると、気持ちの中では、まだまだ30台気分が抜けきれない私でも『私は人生で、一体、何をなすべきなのだろうか?』などと、自分の人生に想いを馳せることが出てきた。

ほとんど社会人経験をせずに、大学卒業後、わずか1年ちょっとで独立してしまった私。
20代の時は、兎にも角にも、会社を成り立たせることが至上命題であり、『とにかく、頼まれた仕事は、何でもこなす』というスタンスで、24時間働いていることが心の安定剤だった。

30代に入り、多少なりとも会社が安定してくると、自分が生きた証として、また、子供達に親の背中を見せるために何か、自分の人生で達成したことをつくりたいと思うようになり、
必死でスポーツとしてのゴルフにのめり込んだ。週に3日練習と筋トレに行き、週に3日ゴルフ場に行き週休1日のアマチュアゴルファーだった。

40代に入り、人生を愉しむ事を覚えた。ゴルフの仲間と、夜な夜な盛り上がったり、どうやったら、ギャンブルで設けられるのか?と、真剣に研究してみたりした。(結果、ほんの僅かだが、ギャンブルの生涯収支はプラスになっている)

50代に入る少し前、東京から八ヶ岳へと、本拠を移した。山暮らしを始めて、今までに触ったこともない工具を使ったり、山で木を切り倒して薪を作り、電気がなくとも、家の暖房が出来る力を手に入れた。
で、ふと、思った時に、私は、この人生を通して、何を達成しようとしているのだろうか…と思うようになった。


別に、何も考えず、ボーッと生きてきた訳ではない。でも、『人生で、これまでに何を達成したのか?』と問われると、答えに窮する部分もある。
仕事を通して、関わってきた様々な分野の発展に、大きく貢献してきたという想いはあるけれど、それらは、すべて縁の下の力持ちだった。
『裏方』さんは、もちろん、世の中に必要な、大事なお役目である。
だから、『裏方』として、様々な分野の仕事をサポートしてきた事、これが、今までの人生で、間違いなく達成してきた事だとそれは、胸を張って言えることだ。

ただ、自分が、『自分自身の人生の主役』として、『何を達成したのか』それを、この50代で作り上げてみたい
そんな気持ちが芽生えるようになってきた。 

そんな矢先、先ほどの言葉『世に生を得るは事を成すにあり』に出会った。

これは、書家の紫舟さんが、インタビューの中で答えていた記事で読んだのだ。

※紫舟さん、著名な書家なので、ご存知の方も多いと思う。NHKの大河ドラマのタイトルを書かれていたり、オリンピックにも書を提供するようだ。

↑『不負』(まけざらん)紫舟
負けない。負けないよ。負けてたまるか!
紫舟さんHP http://www.e-sisyu.com/ より)

で、この紫舟さん、子供の頃に、『世に生を得るは、事を成すにあり』の言葉に出会い、その後、書家としての鍛錬を続けてきたそうだ。

「人生をかけて何をすべきことは何なのか」を追求し続けた結果、現在の功績があるとのこと。

『志』を持つ事の大切さ、紫周さんが、まさに、実体験として教えてくれている訳だ。


子供の頃に、私も同じ様な言葉を父に言われた記憶があるが、『志』を持つ事の大切さ、その時は、ピン!とは来なかった。
そして、何十年か後に、紫舟さんのインタビュー記事を見て、自分の心に刺さる物があった。


『人生、遠回りすれば遠回りするほど、その人物の厚みが増す』
と私は思っている。
この言葉に辿り着くまでに、随分と遠回りして、50年以上かかってしまった。が、人生に遅すぎることは、決して無い。

あの、カーネルサンダースが、ケンタッキーフライドチキンのFCビジネスを開始したのは62歳だ。
カーネルの年までには、まだ10年以上ある。

『世に生を得るは、事を成すにあり』この言葉を胸に、私は50代を過ごして行こうと思う。

これをお読み頂いた方の中にも、自分が、『自分自身の人生の主役』として、『何かを成し遂げてみたい』と、思っておられる方、いらっしゃると思う。

でも、自分は年齢が…と思っていらっしゃる方、
決して遅い事は無いんです。

自分は、失敗ばかり…そう思っていらっしゃる方、
その失敗は、ご自身の血となり肉となるし、
他の方々にとっては、大きな力づけとなります。

皆んなが、それぞれの『志』を持って、それぞれに活躍しようではありませんか!

もちろん、この言葉、一番胸に刻まなければならないのは、
何を隠そう、
『私自身』であること、
言うまでも無いことですけれど(^_^;